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せめて、今夜だけ…
第18章 彼方
こうして仕事に打ち込んでいればいつかは忘れられると思っていたが、魚月への想いは日に日に強くなっていくばかりだ。

何をしてる時も、どんな時でも…。

ぼんやりとパソコンのボードを叩いていると、俺の周りがざわついている事に気づいた。


「………?」

作業に夢中で周りを気にしていなかったが、ざわざわと何やら騒がしくなって来ている。
朝のミーティングも始まっていないし部長も来ていないうちから何の騒ぎだ?

パソコンに向かってたせいで話題について行くのに出遅れてしまった。



――――――。



同僚同士がひそひそと話し合っている。
ざわつき方からして、ちょっとやそっとの騒ぎじゃねぇな。
何事だ?

周りを見渡すと、桐谷も同僚から話しを聞いて驚いているような表情を見せている。

「~らしいぜ?」
「マジかよ…っ。それ、大丈夫なのか?」

同僚と話し込んでいる桐谷や同僚の声。
やっぱり何かあったのだろうか?
このままじゃ気になって仕事に集中出来ねぇな。

「おい、桐谷」

同僚と話し込んでいる桐谷を呼びつけた。
この騒ぎの内容を聞き出そうと思ったのだ。

「何だよ、魚塚」
「何か周りが騒がしいんだけど、何かあったのか?」

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