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第18章 彼方

いきなり聞かされた噂の内容が衝撃的過ぎてついつい自分を見失ったが、照りつける太陽が俺を正気に戻してくれた。
拍子抜けしたかのように、いきなり足腰の力が抜けて行く。

ただの噂に振り回されるなんて情けねぇ。
冷静になれば何の根拠もない噂だとわかってることなのに。
無意識のうちに会社を飛び出してこんなところをフラフラしてるなんて…。
あー、マジで馬鹿らしいわ。

高鳴っていた心臓の鼓動が収まっていく。
が、この暑さのせいで喉が乾いてしまった。
近くのコンビニでミネラルウォーターでも買おうと思った。
とりあえず、この喉の渇きを何とかしたい。

あー、でもこの後どうしよう…。
会社に戻った方がいいのだろうけど、さっきの焦りの反動で精神的に疲れてしまった。
さすがに今日はもう仕事なんかしたくねぇ。
桐谷には早退って事で話しを通して貰えるように言っといたし…。


――「いらっしゃいませ」

コンビニに入ると、中はエアコンが効いていて詰めたい風が心地よかった。
さっきまでの暑さが嘘みたいだ。

水でも飲んで冷静になろう。

魚月が婚約破棄したなんてただの噂だ。
根も葉もない噂に決まってる。



だが――――…。