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せめて、今夜だけ…
第4章 飢餓
あー、それでわざわざ残業に付き合ってくれたのか。
昨日は合コンで今日は俺と…
酒の飲み過ぎなんじゃねぇか、こいつ。

しかし、昨夜にあんな事があったせいか、今日はどうも気分が優れない。
余計な女がいないとは言え桐谷と楽しく呑む気分でもない。

「悪いが、パス」

そう言いながらパソコンの電源を落として椅子から立ち上がると、釣られたように桐谷も立ち上がる。

「えー、わざわざ待ってたのにー?」
「バカ、頼んでねぇだろ」

昨夜から嫌なこと続きだ。
最悪な合コンに最悪な女。
今日は出来るだけ自分の時間を作りストレス解消がしたい。

「実はさ、昨日の女の子ですっげぇ気に入った子がいるんだ!でさ、今度また呑みに行こうって誘ったんだけど」

廊下を歩く俺の後を必死に何かを訴えながら付いてくる桐谷。
それを振り払うように歩調を早めるが桐谷は諦める気配がない。

「その子"魚塚さんも来るなら行く"って言ってんだ。だから、もう1回だけ飲み会的な感じで…」

いや、何だよ、それ。
そんな飲み会、どう考えたって桐谷にチャンスなんかねぇだろ。
その女も俺が来るならとか言ってんのに…。

「それ、俺にもお前にもメリットねぇだろ」
「でもさー…」

何だってそんなに必死になってんだよ。

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