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せめて、今夜だけ…
第4章 飢餓
「悪いけど、俺はマジでパス」

ふざけんなっつーの。
こっちは昨夜の合コンで懲りてんだ。
それに、女なんか…
男の肩書きや収入や年収で値踏みして来る生き物なんだ。
そんなもんに必死になってる方が滑稽だな。
くだらね―――――――…


そこで、俺の頭の中に、変なビジョンが流れ込んだ。





―お金で買えないものもあるんです―









「…………。」

それは、昨夜のあの女の台詞だ。







金で買えないもの?
っていうか、何でこんな時にあの女の顔がチラついたんだ?









うるさい桐谷を宥め、俺は何とか帰路に付くことが出来た。
しょーがねぇ奴だな、桐谷は。

とりあえず、今日はいろいろ買わなきゃなんねぇもんがあるからドラッグストアに寄らねぇと。
飯はコンビニ弁当か何かでいいな。

こうしてる間にも、俺のスーツの内ポケットではスマホがメッセージを受信し続け軽い振動を繰り返している。
恐らく、俺の仕事が終わる時間を見計らって、いろんな女からいろんな誘いが来てるのだろう。
飯に行こうとか、呑みに行こうとか。

でも、今日は女と過ごす気分でもない。
今日は何故か1人でいたい。
買い物を済ませたら誰にも会わずにさっさと家に帰りたい。
別に家に帰っても誰かが待ってるわけでもないけど。



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