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せめて、今夜だけ…
第19章 欲心と懺悔
俺の体を襲った強烈な睡魔。
感情の緩急のせいか…、それとも空きっ腹にアルコールを呑んだせいか…?

「由之、どうしたの?」

シャンパングラスを片手にこちらに戻って来た先輩。

あー、もう、この期に及んで先輩の前でこんなだっさいところ見せたくない。

「ねぇ、大丈夫?」

ホッとした途端に眠くなったなんて…。
しかもシャンパン一杯で…。

「あ、あぁ…、大丈夫で、す…」

必死に先輩の問いに答えるが、視界に写る先輩の姿がボヤけている。
まるで寝惚けているかのように輪郭がボヤける。

「はい、おかわりのシャンパン」

先輩が俺にシャンパンを手渡そうと手を伸ばした。

大丈夫…、気付けにもう一杯呑めば多分目も覚めるはずだ。

「あぁ、ありがとう――――――」




あ、マジで…、何だこれ…。
瞼が重い…。
頭では起きようとしてんのに、まるで睡魔に引っ張られてるみたいだ。
意識が遠退く…。



「…ござい、ま…」






――――――――カタンッ…。








取り損ねたシャンパングラスが床に落ち、ラグにはシャンパンのシミが広がって行く。
自分の意思とは裏腹に、俺は意識を手離してしまった。
それは、抗えないほどの強烈な睡魔によって。





――――――クスッ、クスクス…。








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