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せめて、今夜だけ…
第20章 傷ついた鱗
女に犯されかけて舌を噛み切って自害なんて、情けなさすぎる。
これで死んでニュースにでもなったら両親に申し訳ねぇな。
舌を噛んだ痛みで眠気は吹っ飛んだが体の痺れは取れてはくれない。
ハッタリをかましながら先輩を睨み付ける俺を見て、先輩も観念したかのようにそれ以上は俺に何かを仕掛けてくる様子はなかった。
ただ黙って、諦めたかのように俯いてしまった。
「……わかったわ、私の負けよ」
「………っ」
先輩にだってプライドがある。
最後の最後に足掻いて、それでもダメなら縋りつくような惨めな真似はしない。
先輩の性格は俺が1番よく知ってる。
「とりあえず…、止血しないと」
落ち着いた先輩は鞄の中からハンカチを見つけてくれた。
それを俺の口に入れて出血を抑えるように舌にハンカチを宛がってくれた。
まぁ、今は応急処置といったところだろう。
明日にでも病院に行くか…。
「大人になっちゃったんだね、由之は」
俺の手当てをしながら寂しそうに先輩が呟く。
確かに…、性欲に溺れて誰彼構わず抱いてた頃に比べれば幾分かは成長したのだと感じる。
先輩と付き合ってた学生時代とは何もかもが違う。
「でも、大人になるのを教えたのは…、私じゃないのね…」
これで死んでニュースにでもなったら両親に申し訳ねぇな。
舌を噛んだ痛みで眠気は吹っ飛んだが体の痺れは取れてはくれない。
ハッタリをかましながら先輩を睨み付ける俺を見て、先輩も観念したかのようにそれ以上は俺に何かを仕掛けてくる様子はなかった。
ただ黙って、諦めたかのように俯いてしまった。
「……わかったわ、私の負けよ」
「………っ」
先輩にだってプライドがある。
最後の最後に足掻いて、それでもダメなら縋りつくような惨めな真似はしない。
先輩の性格は俺が1番よく知ってる。
「とりあえず…、止血しないと」
落ち着いた先輩は鞄の中からハンカチを見つけてくれた。
それを俺の口に入れて出血を抑えるように舌にハンカチを宛がってくれた。
まぁ、今は応急処置といったところだろう。
明日にでも病院に行くか…。
「大人になっちゃったんだね、由之は」
俺の手当てをしながら寂しそうに先輩が呟く。
確かに…、性欲に溺れて誰彼構わず抱いてた頃に比べれば幾分かは成長したのだと感じる。
先輩と付き合ってた学生時代とは何もかもが違う。
「でも、大人になるのを教えたのは…、私じゃないのね…」