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せめて、今夜だけ…
第21章 嘘と罠
と、言っても
一体何から始めればいいんだ?
俺個人が動くには限界があるし、俺は探偵でも何でもないんだから人探しの基本なんてわかんねぇ。

「…………。」

とりあえず、残された手は「アレ」しかないわけだが、アレを使うのは些か危険ではある。

「……………。」

しかし、こうやって先輩からの連絡を待ってるのはもどかしい。
自分から行動しないことには何も始まらない。
先輩にばかり頼ってはいられない。

「しゃーねぇな…」

自分を奮い立たせるように小さく呟いた俺は椅子から立ち上がった。
俺が自分で魚月を探す為にまず必要な情報を得なくてはならない。
その情報を聞き出すには――――――。









情報を聞き出すには…、我ながら安直な考えだとは思うがこれしかない。

俺は退社後、電車に乗ってある場所に来ていた。
それは、前にも1度来たことのある市原グループの会社だ。

「さて、と」

いつ見てもデカいビルだな。
見上げてるだけで首が痛くなりそうだ。
仕事帰りの社員達が会社からぞろぞろ出てくる。

ここに来れば何かしらの情報が得られるかも知れないと思いわざわざ会社帰りに足を運んだ訳だが。

「…………っ」

人の群れを見ながら思った。


あー、ここへ来たのはいいが、誰に何を聞けばいいのか?
何のプランも持ってきていなかった。


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