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せめて、今夜だけ…
第21章 嘘と罠
自分の考えの甘さを痛感した。
会社から出てきた社員に聞くわけにもいかねぇだろうに。
それに社員達は、翔太の事は知ってても婚約者だった魚月のことまでは知らねぇだろうしな。
「はっ、バカか俺は…」
初めてここに来たときは、ただ魚月に会いたい一心だった。
魚月の迷惑も考えず、ただただ魚月に会いたくて、会いたくて
後先も考えずにここに来ていた。
魚月に会いたい気持ちはあの頃から少しも変わっていない。
本当に…、今すぐ会いたいよ、魚月…。
会社から出てくる社員を眺めていたところで何かがわかるはずもない。
いつまでもここにいたところで何も得られるものなんかないだろう。
もしこんな所、先輩にでも見つかったらすっげぇ怒られそうだしな。
せっかく来たけど、帰ろ。
これと言った収穫はなかった。
あるわけもない。
俺は踵を返し、会社に背中を向けて帰ろうとしていた。
また別の手を考えなくては…、そんな事をぼんやりと考えていたのだ。
すると
―――――――「魚塚さん?」
背後から聞こえた俺の名前を呼ぶ声。
その声に、思わず帰ろうとした足が止まった。
そして、一瞬
胸の中から、堪えきれない波が押し寄せて来る。
会社から出てきた社員に聞くわけにもいかねぇだろうに。
それに社員達は、翔太の事は知ってても婚約者だった魚月のことまでは知らねぇだろうしな。
「はっ、バカか俺は…」
初めてここに来たときは、ただ魚月に会いたい一心だった。
魚月の迷惑も考えず、ただただ魚月に会いたくて、会いたくて
後先も考えずにここに来ていた。
魚月に会いたい気持ちはあの頃から少しも変わっていない。
本当に…、今すぐ会いたいよ、魚月…。
会社から出てくる社員を眺めていたところで何かがわかるはずもない。
いつまでもここにいたところで何も得られるものなんかないだろう。
もしこんな所、先輩にでも見つかったらすっげぇ怒られそうだしな。
せっかく来たけど、帰ろ。
これと言った収穫はなかった。
あるわけもない。
俺は踵を返し、会社に背中を向けて帰ろうとしていた。
また別の手を考えなくては…、そんな事をぼんやりと考えていたのだ。
すると
―――――――「魚塚さん?」
背後から聞こえた俺の名前を呼ぶ声。
その声に、思わず帰ろうとした足が止まった。
そして、一瞬
胸の中から、堪えきれない波が押し寄せて来る。