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せめて、今夜だけ…
第22章 核心
翔太のスマホに電話がかかって来たようで、翔太はスマホを耳にあてがい誰かと話し出した。

俺はと言うと、思ってもない事実にただただ呆然としていた。

婚約破棄は魚月から?
でも、一体何で?
実家を…、両親の会社を助ける為に愛のない結婚に応じたんじゃないのか?
そこまで覚悟を決めてた魚月がどうしてだ?

とりあえず、翔太の電話が終わったら続きを聞こう。
魚月から婚約破棄を言い渡された理由を。
じゃないと納得が――――――。






「あぁ、大丈夫だよ。あぁ、心配しなくても、俺にはお前だけだよ。愛してる」







――――――――は?

俺の目の前で、スマホで誰かと話している翔太の口から出た言葉。
その言葉が不意をついて俺の耳に入ってきた。

いや、こいつ…、今、誰と話してんの?
今こいつ、"お前だけ"とか"愛してる"とか言わなかったか?

しかし、翔太は目の前の俺を無視して電話相手に甘い言葉を囁き続けた。
それはもう、聞いてるこっちがむず痒くなるくらい。

「早くお前を抱きたいよ」とか
「お前の笑顔も体も最高だよ」とか…。

ま、まさか…、電話の相手は魚月か…?
いや、この男は魚月にこんな甘い愛の言葉を囁いてなんていなかった。

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