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せめて、今夜だけ…
第22章 核心
「あぁ、わかった。じゃあな。また後で―――――あ、失礼」

終話ボタンを押すと何事もなかったかのようにスマホを内ポケットに直した。
俺は突然の事で頭がパニックだったが…。

いや、今のはもしかしたら新しい彼女かも知れない。
翔太は婚約破棄された身なのだから彼女を作っても不思議ではない。
寧ろこんな金持ち、女が放って置かないだろう。

今の翔太に彼女がいようがどうでもいい。

「も、もしかして…、新しい彼女さんですか?」
「まぁ、そんなところです」

こいつに彼女がいた方が好都合だ。
下手に魚月に未練なんて残して欲しくない。
まぁ、あれだけ臭い台詞を言い合う仲ならその心配はなさそうだな。

「ひょっとして、この後彼女さんとデートだったとか?それならお誘いして申し訳なかったですね」

俺は出されたアメリカンを飲もうと取っ手に指をかけた。
アメリカンの湯気、カカオのいい香りが俺を冷静にさせてくれる。



「あー、彼女と言っても本気じゃありません。ただの遊び相手ですよ。ちょっと付き合いが長いだけで」







―――――――は?付き合いが長い?

俺はその言葉に疑問を持った。
魚月と婚約破棄になったのは3ヶ月前だよな?
付き合いが長いってどういうことだ。
少なくとも3ヶ月前までは魚月という婚約者がいたはずなのに。


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