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せめて、今夜だけ…
第22章 核心
「あの、長い付き合いというのは…」

まさか、こいつ…。
魚月という婚約者がいながら、二股かけてたのか?

訳がわからず呆然としている俺に向かって翔太はニコリと微笑み返してきた。


「やだな~、そんな怖い顔しないで下さいよ。普通の事じゃないですか?みーんなやってますよ!」



は?みんなやってる?
こいつ、何を言い出してるんだ?
だって、こいつには魚月が…。

しかし、翔太は悪怯れる様子もなく坦々と楽しげに語りだした。

「どんな女でも金をちらつかせれば簡単に落ちますよ。それが面白くてね。まぁ、俺も俺でいい女を抱ける訳ですから、おあいこですね」

いや、それはそうかも知れないが、魚月は?
魚月はこの事を知っていたのか?
覚悟を決めてお前と結婚するつもりだったんだぞ?

「でも、会社を継ぐとなるとサポートしてくれる妻が必要になって来ますからね。次期社長ともなるといろいろありまして…。適当に金に困ってる女で間に合わそうかと思って、それでたまたま資金援助していた魚月に声をかけたんです。面倒じゃないですか、女と一から信頼関係や恋愛関係から始めるのって」

適当に?面倒…?
何でそんなに軽々しく言えるんだ?
何でそんなゲームみたいに考えられるんだ?

体が凍りつくように冷えて行く。
体どころか心臓すら凍っていくようだった。

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