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せめて、今夜だけ…
第22章 核心
「―――――あっち…っ!」
飲もうと手に持っていたアメリカンを翔太にぶっかけてしまった。
運ばれて来てから時間は経ってるが、ぶっかけるとなるとまだかなりの高温だっただろう。
「て、てめぇ…っ!」
この騒ぎを聞き付けた周りの客がこちらに視線を向けている。
喧嘩の始まりだと思い、物珍しそうな顔でこちらを見ている。
まぁ、こんな現場、ドラマや映画でしか見たことないだろうな。
アメリカンを引っかけられた拍子に翔太は椅子から転倒。
熱々のアメリカンを拭いながらこちらを睨んでいる。
はは、つーか、俺に翔太を攻める資格なんかない。
今、翔太が口にした事は
全部過去に俺がやって来た事と同じだ。
金に物を言わせて女を抱いてきた。
今になって、他人の姿で自分の愚かさに気づくなんてな。
「どういうつもりだ…?」
わなわなと震えながら今にも俺に掴みかかって来そうな勢いだ。
それもそうだ。
いきなり熱々のアメリカンをぶっかけられて恥を晒されたようなものなのだから。
「てめぇの人生をめちゃくちゃにすることぐらい造作もねぇんだぞ…?」
今度は脅しか?
俺は既に覚悟を決めていた。
翔太ぐらいの権力があれば、俺を社会的に抹殺することぐらい簡単だろう。
翔太にとったら俺みたいなサラリーマンは、道端に落ちてる石コロ程度なのだろう。