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せめて、今夜だけ…
第23章 不協和音
落ち着け…。
もしかしたら、魚月の事が何かわかったのかも知れない。
でも、期待し過ぎるな。

「あの、どうかされましたか?」

俺は冷静に先輩に電話の用件を尋ねた。
だが、心の中では魚月の情報であってくれと切に願っていた。

『どうかされましたか?じゃないわよ。あなた昨日翔太さんに何て事したのよ…』
「は?」


思ってもみたい用件に思わず変な声が出てしまった。
魚月の事でも仕事の事でもない、翔太の話題。

しかし、思ってもいなかった話題とは言え先輩からの質問に答えなくては、と
昨日の事を思い出そうとしていた。
いや…、昨日の事と言えばあの事しかないな。
心当たりは1つしかない。

『翔太さんがブチギレてたわよ…。あんたをクビにしろって』
「はぁ、すいません…」

やっぱり…。
昨日カフェでコーヒーをぶっかけた事だ。

そう言えば、前に1度俺と先輩、魚月と翔太の4人でダブルデートみたいな事をしたことがあったな。
翔太は俺と先輩が繋がってる事を知ってる。
Bijouxには何も言わずわざわざ先輩に訴えるとはな…。

『まぁ、深くは聞かないわ。翔太さんが何か言ったんでしょ?』
「あ、それは…」
『由之は理由もなく乱暴を働く人じゃないもの』

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