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せめて、今夜だけ…
第23章 不協和音
見合い話し…。
金持ちの世界ではよくある話だな。
「その見合い話、翔太は受けなかったんですか?」
『あの性格だもの。落ち着くつもりも見合いする気もなかったのよ』
呆れたように笑う先輩。
どうやら先輩も翔太の本性を知っていたようだ。
確かに、あんな高圧的な性格なら、普通の女なら逃げ出すな。
それでも魚月は、家族を守る為にあの男と生涯を添い遂げようとしていたのだ。
それをあの男は…、どこまでも勝手な婚約者だったのだなと、この場にいない翔太にまたしても沸々と怒りが込み上げて来た。
そこまで考えて、俺は残念な気持ちになった。
先輩が俺を信じてくれていたというのは嬉しかったが、俺が望んでいた話ではなかった。
魚月の話ではなかった。
ただ単に翔太からの訴えの話だった。
『翔太さんはこっちで宥めといたから由之に何かするとかはないと思うわ。こっちだって翔太さんの不定行為を外部に漏らしたくないもの』
「ありがとうございます。ご迷惑ばかりかけてすいません…」
でも、よく考えたら、俺は翔太を責められない。
俺に翔太を責める権利などない。
少し前の俺は…、魚月と出会う前の俺は、翔太と同じようなことをしていた。
気分のままに女を抱き、その後の事なんて気にも止めなかった。
俺に翔太を責める資格はない。
金持ちの世界ではよくある話だな。
「その見合い話、翔太は受けなかったんですか?」
『あの性格だもの。落ち着くつもりも見合いする気もなかったのよ』
呆れたように笑う先輩。
どうやら先輩も翔太の本性を知っていたようだ。
確かに、あんな高圧的な性格なら、普通の女なら逃げ出すな。
それでも魚月は、家族を守る為にあの男と生涯を添い遂げようとしていたのだ。
それをあの男は…、どこまでも勝手な婚約者だったのだなと、この場にいない翔太にまたしても沸々と怒りが込み上げて来た。
そこまで考えて、俺は残念な気持ちになった。
先輩が俺を信じてくれていたというのは嬉しかったが、俺が望んでいた話ではなかった。
魚月の話ではなかった。
ただ単に翔太からの訴えの話だった。
『翔太さんはこっちで宥めといたから由之に何かするとかはないと思うわ。こっちだって翔太さんの不定行為を外部に漏らしたくないもの』
「ありがとうございます。ご迷惑ばかりかけてすいません…」
でも、よく考えたら、俺は翔太を責められない。
俺に翔太を責める権利などない。
少し前の俺は…、魚月と出会う前の俺は、翔太と同じようなことをしていた。
気分のままに女を抱き、その後の事なんて気にも止めなかった。
俺に翔太を責める資格はない。