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せめて、今夜だけ…
第24章 綻び
ぼんやりする頭でスマホの画面を指でなぞった。
どうせ部長か社長か、桐谷辺りか?
今までの女は…、もうこっちからは連絡も入れてねぇし、今更連絡が来ることもないだろう。


そう思って、何も考えることなく指を進めて行くと





【先輩】
【郵便番号 02xx…、◯◯県××町…】





あ、先輩から?
何だ、この住所…。






「……っ!?」

メッセージの差出人は先輩からで、そこにはどこかの住所が記載されていた。
最初は何が書いてあるのか何の事だか全然わからなかったが、すぐにわかった。

さっきまでモヤがかかってたみたいだった頭が一気に晴れていく。







これは…、まさか…
魚月の住所…?







「あ…っ」

そうだ。
さっきまでフランスのことで頭がいっぱいだったが、先輩は魚月の居場所を探してくれてたんだ。
そしてこれは、魚月の実家の住所。

心臓から一気に血液が送り出されていくように、身体中の血液が沸き立った。
心臓がドクドクと脈打っている。

ここに行けば魚月に会える…。
魚月に…。

そう思うだけで、頭の中も心も落ち着いていく。
精神安定剤でも飲んだように、心が落ち着いていく。

拒絶されてもいい。
今度こそ、本当にこれが最後になってもいい。
日本を離れる前に、最後にもう1度魚月に会いたい。

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