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せめて、今夜だけ…
第24章 綻び
俺から会いに行って、拒絶されるかも知れない。
迷惑がられるかも知れない。
でも、嫌われてもいいからもう1度だけ会いたい。
その気持ちだけは揺るがない。





先輩から来たメッセージに記載されていた住所を見ると、ここから電車一本で行ける場所にあった。
マップアプリで確認してもややこしい場所ではなさそうだ。
それに、魚月の実家は工場だ。
ご丁寧にマップアプリに記載されてる。




先輩にも、お世話になりっぱなしだ。
何度も傷つけて困らせたというのに、まるで俺の背中を押してくれてるようだ。
メッセージには住所以外のメッセージは何もなかった。
でもわかってる。
声なき先輩からの後押しだと。




どうしたいか?
そんなの決まってる。
仕事の事も、プライベートも、頭の中で全然まとまってないのに、魚月の事だけは決まってる。

魚月…。
何も言わずに俺の前からいなくなった。
だけど、今度は俺から表れてもいいか?
その扉を叩いても。





何も決まってない。
何を喋るか、会ってどうするかなんか全然決まってない。
だが、俺は自分の心に従うかのように荷造りを始めた。
遠出というわけではないが、小さな鞄に着替えを詰め出した。
いくら遠出じゃないとは言え隣の県に行くのだから、それなりの身支度があれば安心だと思った。

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