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せめて、今夜だけ…
第25章 水音
俺は懐かしみながら穏やかな流れの川を見ている魚月の横顔をただじっと見つめていた。

夢じゃない。
今目の前にいるのは幻でも何でもない、本物の魚月だ。
さっき、あんなに激しく抱き締めたのに、夢じゃないと改めて再確認している。

「いきなり悪い…」
「本当に…、魚塚さんにはいつも驚かされます」

突然の訪問を謝罪する俺を、魚月は軽く笑って済ませてくれた。


魚月、少し痩せたな…。
髪だって、前はあんなに瑞々しかったのに。
今の魚月を見ていると、疲れや苦労の後が見えた。
俺は少しの罪悪感を感じながらずっと聞きたかった事を聞こうとしていた。


「翔太と…、その、別れたのか…?」






いきなりこんな質問は失礼かと思った。
ずっと聞きたかった事とは言えあまりにも不躾だ。
でも、俺はずっと気になっていたんだ。
その身を差し出してでも家族を守ろうとしたのに、何故いきなり婚約を破棄したのかを…。

「誰から聞いたんですか?」
「先ぱ…、あ、安西さんに…」
「あぁ、社長の秘書の女性ですよね?魚塚さんの学生時代の先輩でしったっけ?」



俺はまだ半信半疑だった。
先輩と翔太からは聞かされていたが、当の魚月からは何も聞いていない。
それを確認したかったのかも知れない。



「3ヶ月前に…」
「そうか…」



……俺は最低だな。
翔太と婚約を破棄して、資金の援助も融資もなくなって苦労してきたはずなのに
婚約破棄が本当だったことを魚月の口から聞けて少しホッとしてしまっている。

「黙っていなくなってごめんなさい」
「あ、いや…、それは別に…」

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