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せめて、今夜だけ…
第5章 恋心
いや、そもそも、1人の女性に3日連続で会うなんて事も初めてだ。
昨日は偶然だったにしても、今夜に限っては自ら会いに来てるし。

「はぁ…」

大きなため息を付きグラスをコースターに置くと、中の氷がカランッと音を立てて溶けた。

「何ですか?いきなりため息なんて」
「いや、別に…」

何やってんだよ、俺。
いくらこの女に腹が立ってたとは言えここまでしなくても良かったんじゃねぇか?
この店の雰囲気は好きだし、ここで呑むぶんには楽しめるが…。

1人の女にここまでするなんて、本当に俺らしくもない。

「悩み事とか?良かったら聞きましょうか?」

…誰のせいだと思ってんだよ、この女は。

一昨日から、この魚月とかいう女に振り回されてる。
というより、俺が一方的にイライラして空回りしてるだけのような気もするが。

自分で自分に呆れただけで悩み事なんてない。
とりあえず、話題を変えようと思った。

「あのさ、昨日のドラッグストアで――」
「はい?」


俺は、昨日感じた違和感を聞いた。
本当に大した事のない素朴な疑問だ。




「何ですか?」
「昨日、何でメンズ用のシェービングコーナーなんかにいたんだ?」






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