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せめて、今夜だけ…
第1章 ルール
愛や恋なんて、嫉妬や束縛で気持ちを磨り減らし、ちょっとしたことで舞い上がって自分を見失う。
消耗物以外の何者でもない。
そんなものに、大事なプライベートの時間を費やすつもりはない。









――――――「あっ、あぁ…っ」

終業後、俺は真っ直ぐ帰宅せずに女を呼び出してホテルで情事を楽しんでいた。
ここならルームサービスで食事も済ませれるし、会社から離れてるし、誰かの目を気にすることもない。
誰かに見られたところで俺は独身だし、この女も独身だし困ることはないが、妙な噂が立つと後々面倒だ。

面倒なことは昔から嫌いなんだ。

「う、あ…」

一糸纏わぬ姿でベッドに体を沈める女。
小麦色の肌、スレンダーな肢体を蛇のようにくねらせている。

この女は恋人というわけではない。
ただこうして体を重ねるだけの関係。
愛や恋には興味はないが、性欲だけはどうにもならない人間の本能。

「あ、あん…っ、魚塚さ…」

女の体の中を激しく掻き乱していると、女の両腕が俺の首もとへと伸びた。
潤んだ瞳に甘い吐息を漏らす唇。
熱い吐息が俺の鼻先をかすめた、が

「おっと、それはルール違反だ…」

「ど、どうし、て…?ああぁぁ…っ」

情事の最中のキス?
そんな甘いもの、俺は求めてない。
今欲しいのは快楽だけなんだから、そんな甘い行為や瞬間なんていらないんだよ。


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