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せめて、今夜だけ…
第5章 恋心


その後、魚月の他に入れ替り立ち替りで何人かのホステスが俺に付いてくれた。
だけど、魚月の第一印象とインパクトが強いせいか誰と話してもイマイチ盛り上がらない。
と、いうか俺の会社の名前を聞いた瞬間、目の色変える女ばかり…。

魚月の前では、いつもの冷静さを保てないでいるということを再確認させられた気分だ。
その代わり、胸の奥のチリチリとした痛みも感じずに済んでいる。

それが何故かはわからないが…。


腕時計を見ると時間は既に0時を回ろうとしていた。


…あー、もうこんな時間か。
明日も早いし、何かと仕事も立て込んでるし、そろそろ帰るとするか。
店内の客もそろそろ少なくなって来てるし…。

「そろそろチェックしてもらえますか?」
「え~、魚塚さん、もう帰っちゃうんですか~?」

目の前にいるホステスにそう告げると、猫なで声で引き止められた。

「明日も早いのですいません」
「わかりました~」

ウイスキーと一緒に目の前にいるホステスの香水の匂いで酔いそうだ…。
酔った顔を見られたくなくて、ホステスから顔を反らしたついでに店内を見渡して見ると…


あれ?魚月がいない。


店内に、魚月の姿がなかった。
あいつ、もう帰ったのか?
ここの閉店時間はまだだろう?
店内中を一周見渡したが、やはり魚月の姿はない。



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