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せめて、今夜だけ…
第5章 恋心
カウンターから身を乗り出したホステスの胸元を見ると、豊満なバストの谷間が惜しげもなく放り出されている。

正直、このホステスの名前すら覚えてないし、何を話したかも覚えてない。
でも、今までの遊びの女もそうだが、大した会話もなく、お互いの事を深く知ることもなく
ただただ性欲だけを満たしてきた。

それでいいはずだった。
そうやって今まで遊んで来たんだ。

「私、朝まででも全然平気なんで」

まぁ、見た目は悪くないし、体だって、魚月より全然グラマラスで巨乳で俺好み。
明日も早いとは言え、仮眠さえ取れればいいし断る理由はない。
いつもみたいに遊べばいい。


「…………。」
「魚塚さん?」



いつもみたいに――――――――…

クッソ、何で…っ。







「残念だけど、今日は帰ります」











―――――――店から出た俺は、夜風に辺りながらも覚束無い足取りで必死に帰路に着いていた。

つーか、あのホステス、どんだけ濃いの作ってんだよ…。
普段からここまで酔う事はないが、あのホステスの香水が強すぎて、相乗効果で悪酔いしてしまった。

「あー、気持ちわりぃ…」

人気の少なくなった繁華街を抜けて、俺は近所のコンビニに立ち寄った。
とりあえず、水とウコンでも呑んで夜風に当たろうと思った。

さすがにこれじゃ歩けない…。
夜風に当たればましになるかとも思ったが、こんな事ならタクシー呼べば良かったか…。


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