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せめて、今夜だけ…
第5章 恋心
コンビニで買った水とウコンを片手に公園のベンチに座って酔いを覚まそうとした。
今買った水のペットボトルを額に当てたりしながら。
公園と言っても、遊具なんてない、外灯と芝生があるだけの閑静な公園だ。
それでも、夜中ともなるとカップルどころか誰もいやしない。
酔いを覚ますにはちょうどいい。

「はぁー…」

額に当てたペットボトルがひんやりとして気持ちいい。
さっきまでの気持ち悪さがスーッと引いていく。




つーか、何で俺、さっき断ったんだ?
あんな誘い、いつもなら断らないのに。
あのホステス、すっげぇ怒ってたな。
まぁ、女に恥をかかせたようなもんだから怒っても仕方ないな。

普段の俺ならそんな事考えずに本能のままに動いてたのに、何で今日に限って…。



ここ最近の俺は、何処か変だ。
どんな女にも深入りはしないって決めてたのに、魚月に会ってからどんどん変化して行くのがわかる。
理由はどうあれ、1人の女に立て続けに会いに行くなんてどうかしている。

それにここ最近、胸の奥がヒリヒリと痛む。
まるで心臓を焼かれたような…、火傷のような痛み。

前はこんな事はなかったのに…。


「はぁ…、何かの病気か…」


ため息を付きながら空を見上げた。

「……あぁ」

妙に薄暗いと思ったら、月が出てないのか。
空はどんよりとした厚い雲が広がっている。


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