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せめて、今夜だけ…
第5章 恋心
この寒空の中、冷たい雨が拳銃のように俺を打ち付ける。
まるで、俺のこの醜態を嘲笑ってるかのよう。

ここの公園はデカイ木々もあるし、そこで雨宿りも出来るだろうし、雨が止むまではもう少しここにいよう。

「はぁ…」

立ち上がろうとしたその瞬間…。







―――――「だから…っ、それは…」







―――――――ん?今何か聞こえたような…

シトシトと静かな雨音に混じって人の声が聞こえた。

気のせいか?と思いながらもう1度耳を澄ませて見ると



――――――「私は…、別に…」



確かに聞こえる誰かの声。
しかも、女性の声だ。
俺の背後から聞こえて来てるような気がするが。

おいおい、まさか時間的に幽霊とか言うんじゃねぇだろうなぁ。

俺の背後は大きな木の植木がある。
どうやらその声は植木の向こうから聞こえてるようだ。

興味本位からか気配を殺しながら植木の向こう側を覗いて見ると…。




「どうして、いつもそうやって…」
「大体お前は…」





…やっぱり誰かいる。
それも男と女の2人。
薄暗くて、姿形はハッキリと見えないがどうやら恋人らしき男女が喧嘩してるようだった。

おいおい…、雨には降られるわ、恋人の喧嘩には出くわすわ、マジで勘弁してくれよ…。



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