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せめて、今夜だけ…
第5章 恋心



頭が痛い…。
酔いが回ってるのか、それとも雨に打たれて風邪でもひいたのか…。
何にせよ、さっさとここから立ち去ろう…。


別に…、魚月がどうなろうが知った事ではない。
この雨に打たれて風邪をひこうが何だろうが、あんな小生意気な女がどうなろうが俺には関係ない。
この公園から出たらタクシーでも呼ぼう。

タクシーを呼んで、さっさと家に帰って風呂でも入って…


魚月がどうなろうが…。



そう思い踵を返したが、振り返ると、魚月はまだ雨の中で立ちすくんだままだ。






「………………っ」







あんな女がどうなろうが…。









ザァー…。









尚も降り続ける雨は、一向に止む気配がない。












――――――――――「風邪ひくぞ?」









気づくと俺は、雨に濡れる魚月の後ろに立ち、そう声をかけていた。








「――――――あ」








俺の声に驚いたように振り返った魚月。
俺の姿を見るなり驚いたような顔をした。








「なっ、魚塚さ…っ」










暗闇でもわかるくらいに、魚月の目は真っ赤になっていた。
それだけで、どれだけ涙を流したかなんて容易に想像がついた。

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