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郁美の真実 parallel story
第18章 〜恋人〜
早紀とバーに行った翌日、ひと通り年始の用意を済ませると、早紀だけ叔父方を離れることになった。
なんでも、年明け早々に大きな商談があって、渡米しなければならないらしい。
もう少し早紀と対話する時間が欲しかったが仕方のないところだ。
バーで会話したときには図らずもいい感じだったが、それ以後は早紀も忙しく、ろくに会話もできなかった。
ただ、早紀が私に向ける表情は、以前と違って、自信を誇示するかのような雰囲気はなく柔和で、むしろどこか頼りない表情にも感じた。
早紀が叔父方を出るとき、タクシーを拾うため、大通りまで見送ることにした。
私がタクシーを停め、早紀が後部座席に乗り込む。
見送ろうとタクシーを離れようとした瞬間、後部座席の窓が開いた。
早紀が上目づかいで私を見ながら、何か小声で言った。
「えっ?なんですか?」
ワザと聞こえないようにした小声のようだった。
反射的に私が顔を近づけると、不意に早紀の唇が私の唇にふれた。
不覚にも驚いて固まってしまった私。
早紀が悪戯っぽい笑顔を私に向けると、そのままタクシーは走り出した。
しばらく私はその場で考え込んでしまった。
これは、事がうまく運んでいるのか....なんともスッキリしない気持ちだ。
なんでも、年明け早々に大きな商談があって、渡米しなければならないらしい。
もう少し早紀と対話する時間が欲しかったが仕方のないところだ。
バーで会話したときには図らずもいい感じだったが、それ以後は早紀も忙しく、ろくに会話もできなかった。
ただ、早紀が私に向ける表情は、以前と違って、自信を誇示するかのような雰囲気はなく柔和で、むしろどこか頼りない表情にも感じた。
早紀が叔父方を出るとき、タクシーを拾うため、大通りまで見送ることにした。
私がタクシーを停め、早紀が後部座席に乗り込む。
見送ろうとタクシーを離れようとした瞬間、後部座席の窓が開いた。
早紀が上目づかいで私を見ながら、何か小声で言った。
「えっ?なんですか?」
ワザと聞こえないようにした小声のようだった。
反射的に私が顔を近づけると、不意に早紀の唇が私の唇にふれた。
不覚にも驚いて固まってしまった私。
早紀が悪戯っぽい笑顔を私に向けると、そのままタクシーは走り出した。
しばらく私はその場で考え込んでしまった。
これは、事がうまく運んでいるのか....なんともスッキリしない気持ちだ。