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郁美の真実 parallel story
第36章 Minerva
スクリーンには、ゆっくりと少女の横顔が浮かび上がる。

12、3歳ぐらいの少女だが、そのキリッとした目元や美しく高い鼻筋から、少女が早紀であることはすぐに分かった。

草原や海岸で撮影された少女の映像は、清楚で美しいものだった。

やがて画像は徐々に不穏なものに変わっていく。

物憂げな表情の少女は、やがて下着姿に変わり、一糸纏わぬ姿にされてしまう。

ここまでの映像でも腹立たしかった。

特殊な場所とはいえ、こんなものが公開されるとは....

尋常な場所ではないことはわかっていたつもりだったが、心底虫唾が走った。


やがて映像は少女が緊縛され、手足の自由を奪われて半裸の男らに蹂躙される動画に変わった。

少女は涙を流している。

「いやぁーーー!!!パパァ!助けてくださいぃ!!!」

少女の叫び声が会場にこだますると、映像に見入っていた下衆な聴衆はどよめいた。

少女の映像は、やがて虚な表情のものに変わり、時折幼い喘ぎ声を発するものに変わると終了した。

本当に吐きそうになった。

早紀が過去に何かしらの性的虐待を受けていたことは分かっていた。

しかし、実際の映像を目の当たりにして、早紀が受けてきた屈辱がなんなのか、全く理解できていなかったことを思い知った。

もうすでにぐったりしてしまったのだが、何も始まってはいなかった。

タキシードの男が再びスポットライトに照らされて現れる。

「天使はなぜこの場所に戻ってしまったのか....彼女はただひとりのためにこの場所に戻ったのです....」

「VIP席のマジックミラーの向こうにいるあなた....この宴はあなたに捧げられたものなのです」

「私たちもおこぼれに預かりましょう....まもなく開演です....」

タキシードの男が再び姿を消した。
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