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郁美の真実 parallel story
第28章 〜迷走する郁美〜
今、また、郁美の中のもうひとりの郁美が身体を支配する。

昔、叔父一家が海外赴任することになり、叔父や義彦からの性的虐待から解放された郁美。

精神的平穏を取り戻したはずだった郁美は、性的な刺激を失い、自ら電車内での痴漢に身を投げ出したりといった行動に出たことがあった。

あのときの刺激がよみがえる。

郁美は、パンティを脱ぎ、ブラジャーを外すとバッグの中にしまいトイレを出ると、ふらふらと混雑する反対側のホームへと歩いた。

そして、混雑する満員電車の車中に身を投げ出したのだった。

ギュウギュウ詰めで身動きの取れない車内。

ノーブラの胸がとなりの男性の肘に押し付けられる。

男性はスマートフォンに夢中で、そのことには気づかないのだったが、郁美の頬は紅く染まった。

結局この日、郁美は痴漢に遭うことはなかった。

郁美は、満たされることなく、さらに悶々とした気持ちで帰宅するしかなかった。

帰宅すると、優しく夫が出迎える。

そのとき、郁美は我に返り、冷静さを取り戻すのだが....

平静を装い、また、日常生活に戻ろうとする郁美。

しかし、義彦に長時間陵辱されたあの日のことを思い起こす時間が増えていく。

痛みや苦しみ、そして恥辱に耐えたあとに頭の中に広がる恍惚。

どうすればあの感覚を味わえるのか。
夫のことは愛しているが、彼にそれを求める術がない。

不倫相手のUとの過激なプレイなら....

これまでUに対し、自分からそれを求めたことはない。

彼ともまた、根底には信頼関係があってのもので、自分がどうなってしまうかわからないような緊張感を味わうことはできないのだ。

郁美はまた、ゆっくりと危険な坂を転がり始めるのだった。
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