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郁美の真実 parallel story
第33章 わずかな光
早紀は、重たく鈍い痛みが残る身体を起こすと、しばらく窓から差し込む光を眺めていた。

断片的に昨晩の忌まわしい記憶が蘇る。

いつの間にか早紀は白いワンピースを着せられていた。

下着はどこにも見当たらない。

ふと見ると、両足首には、軽い痣が残っていた。

そんな自分の状況が、昨晩の出来事が夢ではないことを物語っていた。

いたたまれなくなった早紀は光の方へ向かうと窓を開いた。

そこには、憂鬱で曇った早紀の心情とは裏腹に、よく晴れた空と輝く海が広がっていた。

早紀は窓の外に広がる風景を見て、この部屋から逃げ出したい衝動に駆られた。

早紀は部屋を出て1階のリビングへ行き、恐る恐る扉を開ける。

そこには誰もいなかった。

どうやらF専務と「頭取」と呼ばれる男はどこかに出かけているらしい。

早紀は玄関へ行くと、扉を開け、あてもなくFの別荘を抜け出した。

....ただ、さっき窓から見た海を目指して歩いた。

最初は....普段海を見ることのなかった「海が見たい」という単純な思いつきだった。

ただ、海を見れば今の憂鬱な気持ちが晴れるかもしれないと....

しかし、海に向かって歩く早紀の心情にある考えが浮かんだ。

このまま....海でいなくなってしまおうか....

最期に綺麗な海の風景を見てから....

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