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郁美の真実 parallel story
第35章 早紀の嫉妬
食事が終わってからも、しばらく早紀を膝に抱きながら酒を飲んだ。

早紀も私も、少し仕事疲れからか、酒のまわりが早かったようだった。

何かを語らうでもなく、ただ甘える早紀にキスをしたり、髪を撫でたりして、まったりと過ごす。

しばらくすると早紀がひさびさに言葉を発した

「ねぇ....郁美ともこんなことする?」

私から郁美の話題を持ち出すタイミングを図りつつ諦めかけていたところに、まさかの早紀から言葉だった。

「....」

「郁美とは....こんな風にはしないかな」

「じゃあ、どんな感じなの?」

「まあ、最近は友達って感じですよ....」

「郁美は甘えたりしないのね、意外」

「あなたにはすごく甘えてるんじゃないかと思ってたわ」

「....そういう感じではないですね....ただ....」

「....ただ....なに?」

「最近、僕は郁美の本当の姿を知らないんじゃないかと感じることはあります....少し不可解な行動もあったり」

「....」

「....早紀さんは何か知りませんか?最近のことでも、昔のことでも」

「....ごめんなさい....わからないわ」

「そうですか....」

「....」

私は、このとき、宙を見ながら郁美のことを数秒考え込んでしまった。

視線を戻し、ふと早紀を見ると、早紀の頬を涙がつたっていた。

「郁美のこと....好き?」

「....」

嫌いだとか、早紀のことだけを愛しているとかいうセリフは嘘くさい。

早紀には通用しないだろう。

「....大切です」

「正直ね....」

「....」

「あーあ、郁美はずるいな〜」

「あなたと毎日一緒にいられるなんて!」

「郁美を助けてあげなきゃよかったかな」

「?....助けるって?」

「あ、なんでもないわ、子供の頃の話よ、なんでもない」

「....」

早紀は私の胸に顔をうずめると、しばらくして寝息を立て始めた」

早紀の嫉妬....

どうやら早紀は私のことを好いてくれているのは嘘ではないのだろう。

私はこのとき、早紀の嫉妬が、もっと深く情熱的であることに気づいていなかった。
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