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君の光になる。
第6章 君の光に
「じゃあ、私は……」

「……オーナー、多分、すぐに戻ると……」
 夕子は顔を小さく横に振った。

「じゃあ、夕子さんがいらっしゃったと……」

「……いえ……麗さん、私から連絡します。勝手にお邪魔してすみませんでした」

 夕子は椅子から立ち上がり、石鹸の匂いのする方に頭を下げた。


 
「夕子、あなたにハガキが届いてるわよ」
 そのハガキが届いたのは、安倍の美容室に行ってから三日後だった。

「誰から……?」

「……で、変なのよ……。裏は真っ白で全部点字で書いてあるの」
 夕子はハガキを手に取り、指先で撫でる。

 ――ボ、ク、ハ、キ、ミ、ノ……。

 一行だけの文章の下には『アベヒカル』と打ってあった。

「…………ふふふ、……バカ……」

 ――安倍さん、点字、いつの間に勉強したの?

 胸がいっぱいになる。涙が湧き上がる。

「何て書いてあるの?」

「君の……君の光になる……って……」

「きゃ、それラブレターじゃない?」

 ――会いたい。安倍さんに会いたい。
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