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君の光になる。
第7章 ふたり
「僕に背中を向けてください……」
 安倍が夕子の背に手を当てた。

「あ、ハイ……」
 言われた通りに、夕子は安倍に身体を向ける。背中にトニックシャンプーの匂いが近づく。自分の心臓の鼓動が聞こえるようだ。
 ブラウスの上に羽織ったカーディガンがふっと浮き上がる。

 ――えっ……?

 カーディガンはスッと夕子の腕から抜けた。エアコンの空気が近くなったようで肌寒い。夕子は次に起こることを予感した。

「シャワーにしましょう。立花さん……?」

「……ハイ」

 夕子の背後でカチャカチャと小さな鉄が当たる音がしたあと、チイっというジッパーを下ろすような音が聞こえる。スッという布が擦れる音だ。

 夕子も自分のブラウスのボタンを外し始める。胸の辺りが開《はだ》け始めるのが分かる。まだ、シャツとブラジャーが夕子の身体を隠しているはずだが、安倍の視線が気になった。

「あの……安倍さん?」

「……ハイ……」

「今、私、見ていますか?」

「ええ、立花さんの後ろで……」
 夕子の背中に安倍の手のひらを感じた。身体の力がスッと抜けた。

「……恥ずかしい。安倍さん、目を閉じていてくださいね」
 ふっと、吹き出すような安倍の息づかいが聞こえた。夕子はスカートのホックを外した。

「ハイ……分かりました」

「安倍さん、笑いましたね。今、ふっと……」

「……いえ……可愛らしい、と思いまして……」

「恥ずかしいです。そんなこと言われると……」
 カサカサという安倍の衣が擦れる音が止んだ。

 ちゅっ……。

「……あっ、きゃっ……」
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