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舞い降りた天使
第8章 失望
そして
パパがお風呂に入っている間
機嫌のいい桜と一緒に
食事の準備
久しぶりに
三人で食事ができることに
桜は大喜びだった
それなのに…
「ほんまか?
何やってんねん!…」
お風呂場から聞こえたのは
誰かと電話をしているパパの声
瞬時に
嫌な予感がよぎった
すると予想通り
パパはバダバタとお風呂を出たかと思うと
下着姿のまま
「トラブルや、出かける」
そう言って私と桜の前を横切った
「……」
その言葉を聞いた桜の顔は一瞬にして曇り
そして
黙ったまま
うつむいてしまった
仕事なんだから仕方ない
わかってるよ
そんなこと
でも今日の私は
黙っていられなかった
「パパ、ご飯くらい一緒に」
「何呑気なこと言うてんねん」
「でもさっちゃん
パパが帰ってくるの楽しみにしてたんだよ?」
…返事はない
これ以上しつこくすると
きっとパパの機嫌は悪くなる
もしかしたら
怒鳴られるかもしれない
でも
悲しむ桜を見て
私は我慢できず
「ねぇパパ」
そう声をかけて
奥の部屋へと向かおうとするパパを
追いかけようとすると
私の目に
信じられない光景が飛び込んできた
それは
足首に巻かれたミサンガだった
桜が作ったものではない
見たこともないミサンガ
なんで?
邪魔だからと言って
桜のミサンガをつけなかったのに
どうして
今つけてるの!
私は怒りで身体が熱くなるのを感じながらも
そのミサンガを桜が目にしないように
急いで桜の名前を呼んだ
「さっちゃん」
「……」
でももう
それは間に合わず
桜は目に涙をいっぱい浮かべたまま
パパの足首をじっと見つめていた