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舞い降りた天使
第10章 犯行

真穂にバックを手渡すと
真穂は急いでその中から携帯を取り出し
画面を見るなり
「えっ…」
と、小さな声を出した

そして真穂は
俺の顔も見ないまま
電話をかけてきた相手と
話をはじめたんだ

「もしもし、私」

やっぱり
電話の相手は旦那かもしれない

俺はそう思いながら
裸のままの真穂に布団をかけ
真穂の言葉に耳を傾けた


「えっ!
あ、いえ今村さんは何も…
桜の不注意だから
でもそうですよね。
と、とにかくすぐに行きます…」

え…さっちゃん、どうかしたのか?

桜の不注意という真穂の言葉で
俺の心臓がドクンと音を立てた

「はい、じゃあ公園まで。
ごめんね、うん、じゃあ」

電話を切った真穂の顔色は悪い

心配になって
真穂の肩に手を添えると
真穂は

「ごめん、巧くん、私…」

そう呟きながら
もう右手に
下着を掴んでいた

「真穂、さっちゃんどうかしたのか?」

「ケガしたみたいなの」

「え!」

「すぐ行かなきゃ」

真穂は全く俺と目を合わさず着替えをはじめたけど
とにかく
心ここに在らずという感じだ

「ケガって?大丈夫なのか?」

「多分」

返事も言葉少なく
全く状況がつかめない

落ち着きのない真穂を気にしながら
俺もとにかく急いで服を着ると
立ち上がろうとする真穂の腕を掴んだ

「真穂」

「行かないと」

「真穂」

「行かなきゃ!」

「真穂!」

「……」

「落ち着けって。
そんな焦って
運転出来んのか?」

「……」

やっと俺を見てくれた真穂の目からは
涙がこぼれ落ちそうになっていた

「バチが当たったのかも」

「そんなんじゃない」

「でも私がこんなことしたからだから」

自分が
一線を越えようとしたから
こんな事が起こってしまったという言葉に
正直動揺したが
俺はとにかく真穂を
一度ぎゅっと抱きしめて
まず、自分の心を落ち着かせた

「真穂は何も悪くないって言っただろ?
とにかくさっちゃんを迎えに行こう。
俺が運転する。
それでいいよな?」

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