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舞い降りた天使
第10章 犯行
真穂の返事は聞かないまま
俺は鍵と財布をポケットに突っ込んで
真穂の手を握ぎりしめると
玄関へと向かった
とりあえず
真穂から待ち合わせの公園を聞き出し
車の中で
状況を説明させたんだけど
真穂は動揺していて
とにかく落ち着きがない
俺が運転して
本当に良かった
それより
さっちゃんの状況はこうだ
今日さっちゃんは
書道の教室が終わると
同じ書道教室のお友達の家に遊びに行く予定だったらしい
その家に向かう前に
友達と公園に寄り
鉄棒で遊んでいたら手を滑らせ落下
頭を打っていたらしく
本人は大丈夫だと言うらしいが
友達の親が心配して
連絡をくれたそうだ
場所はそんなに遠くない公園
もうすぐ着くな…
「念のため病院行った方がいいな」
「あ、うん、あ、今日開いてる病院って…」
「俺が予約するよ」
「え?」
「公園の駐車場で俺は待ってるから
真穂はさっちゃん連れて来いよ。
俺、連れて行く病院予約しとくから」
「あ、でも巧くんもう」
「ほら着いたぞ。
さっちゃん待ってるから早く」
「うん…ありがと」
それからすぐに車を降りて
走り出した真穂を見届けると
俺は姉ちゃんの勤める病院に連絡をした
3人で病院に行けば
姉ちゃんに
どういう関係だと
問い詰められることは目に見えてる
けど
とにかく早く
さっちゃんを病院に連れて行きたくて
そしてできるだけ早く
真穂を安心させてやりたかった
「巧くん、連れてきた」
予約が終わるとすぐ
真穂がさっちゃんを連れて戻ってきた
「たくにい、こんにちは」
「さっちゃん、久しぶり」
わりと元気そうなさっちゃんに安心しながら
俺はエクボを出して笑ってみせた
「さ、乗って、すぐにみてくれるから」
「あ、うん」