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舞い降りた天使
第2章 パッションフラワー

それから
大野先生にきちんと挨拶をしてから
桜と車に乗ると
私はぎゅうっとハンドルを握りしめ
心の中で呟いた


善かれと思って
言ってくれているだけ

どうでもよければ
そんなことは言わないはず

落ち着いて…と。


「お母さん」

「ん?」

「パパ
早く帰ってくる?」

「ん〜どうかな〜
お仕事頑張ってるから」

「そっかぁ…」

「早く帰って来てくれるといいね」

「うん」


せめて
桜が眠る前に
帰って来てくれたら

できれば
夕食を一緒に食べられたら
嬉しいんだけど…


そう思っていたけど
結局パパは
桜が眠ってもまだ帰って来る気配はなく
私はラップのかかったグラタンを見つめたまま溜息をついた


パパと話がしたい


今日ね
大野先生に一人っ子のこと
言われちゃった

とか

桜、身体が小さいから
おやつが少ないって注意されちゃった

とか
そんな感じでもいい

桜の事を話したい
私のモヤモヤを聞いて欲しい

少しでもいいから


そう思った
その時だった


「ただいまー。
あー疲れたー」


パパが帰って来た


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