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舞い降りた天使
第14章 着信
そんな俺に
三度目の電話がかかってきたのは
二度目の電話から二週間たった日の夜
俺が一人で部屋にいる時だった
俺の携帯には
『エスクード』の文字
その文字を目にしただけで
俺の鼓動は
トクッ、トクッ…と音を立てはじめた
この電話を待っていた
真穂じゃないかも知れないけど
真穂かも知れない電話を
俺は
ずっと待ってたんだ
「も、もしもし」
「……」
「もしもし」
「……」
今日も
相手からの言葉はない
でも
この電話を
俺は絶対に切りたくなかった
「あの…こちらの声聞こえてますか?」
「……」
聞こえてるよな?
聞こえてなければ
とっくに電話を切ってるはず
真穂なんだろ?
そう聞きたいけど
聞いてしまったら
切られてしまいそうで
怖い
くそ…どうすればいいんだよ
そうだ
とにかくこの電話が
間違い電話なのかどうかだけでも
知りたい
「あ、あの…」
「……」
「この電話が間違い電話なら
すぐに電話を切ってもらえますか?」
「……」
「でも
間違いじゃないなら
このまま…」
「………」
相変わらず無言だけど
電話は繋がったまま
やっぱりこれは
間違い電話なんかじゃなかった
真穂だ
真穂なんだろ?
俺の声を聞いてるんだよな?
そうだ
そうに決まってる
俺はもう
電話の向こうにいるのが
真穂だとしか思えなくなってしまった
確かめたい
真穂なら声が聞きたい
どうして
電話をかけてくれたのか
訳を聞きたい
頼む
教えてくれ
なぁ
真穂なんだよな?
「…真穂…」