この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
舞い降りた天使
第17章 決戦
駿太には
昨日の夜
真穂とさっちゃんを連れて帰り
ここに泊めていることを伝えてある
どうせそのことだろう
「もしー」
『おはよ!
すげーじゃん
マジで駆け落ち?』
あー
そういうことになるのか
そんな風に言われたら
ドストライクな不倫をしてるような気分になるな…
「違うとは言えねーな」
『で、母さんにはいつ話すの?』
「いきなりそれかよ」
『だってすぐバレるだろ?』
それは駿太の言う通りで
姉ちゃんの察知能力は凄い
というか…
俺はどうも姉ちゃんには嘘が下手だ
「まぁ…そうだな」
『早く言わないと
余計に機嫌悪くなると思うけど?
それに早く言ってくれないと
俺もタクニイの女に会えないじゃん。
子供もさ』
「なんだよ
お前が会いたいだけじゃねーか」
いや、違う
わかってんだほんとは。
駿太は駿太で
俺のことめちゃくちゃ心配してて
もしかしたら
もう姉ちゃんは
何かを察知してんのかも…
『そーじゃないけど
まー会ってみたいけど…
あ、シフトはさ
今日は早く帰って来るよ。
明日は夜勤』
「そっか…」
『今日来る?』
「ん…」
行きたくないけど
先延ばししても仕方ないし
旦那が真穂達を探しはじめたら
もっと言いづらくなるよな…
「わかった、行くよ」
『おっ!
頑張って!』
「なんだよ人ごとみたいに」
『人ごとなんて思ってねーよ。
タクニイのこと
応援してるだけ』
「…ありがとな」
『女も来る?』
「その言い方!」
『子供は?』
「いや、とりあえず一人で行くよ」
『わかった。
母さんには俺から言っとくよ。
タクニイが超真剣な話をしに来るって』
悪戯な言い方をする駿太を
俺は
抱きしめたいと思った
欲しいもの
なんでも買ってやる!
と、言いそうになった
お前が困った時は
どんな手を使ってでも助けてやる!
と思うほど
駿太が可愛いくてたまらなかった
「よろしくな、じゃ」
駿太からの電話を切り
姉ちゃんとの決戦を思うと
ため息を漏らしそうになったけど
それを必死で我慢しながら
俺は
少し不安そうな顔で俺を見ている真穂に声をかけた
「心配しなくていいよ。
大丈夫だから」
ほんとは
めちゃくちゃ動揺してて
できれば真穂に
『大丈夫だよ』って
抱きしめてもらいたいけどな。