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舞い降りた天使
第2章 パッションフラワー

said 栗原


11時50分


俺は
約束の時間よりも早く
テイクアウトのホットサンドと
ミルクティーを持って
休憩室に到着した


いや、約束したわけじゃない

徳永さんからの返信は
なかったもんな…


返信しなかった理由は
俺と2人きりになるのを迷ってるんだろう

旦那さんが帰って来たとか
そういう理由だったら
今朝だってメールできるんだし…。

警戒されてんのかな
俺。


あ、12時だ


よし、お出迎えするか。

臆病な徳永さんは
ここまで来られないかもしれないもんな


俺は休憩室のドアを開けて
誰も居ない廊下を歩き
徳永さんの席へと向かった


やっぱり…


案の定
徳永さんはお弁当らしき袋をデスクに置いたまま
まだ席に座っていた


「徳永さん、遅いじゃないですか。
待ってたんですよ?」


「あ、あの…」

何か言いたげだけど
徳永さんは
言葉にならないみたいだ

当たり前だよな

2人でランチの約束してたとか
そういうこと
きっと誰にも知られたくないんだから

「徳永さんのシステム構築方
教えてくれる約束じゃないですか。
早くしないと時間無くなりますよ?
さ、早く」

「え?、あ、えっと」

焦る徳永さんは
まだ迷ってるみたいだったけど
俺は

「休憩室、打ち合わせに使いますんでー」

と、仕事してる数人のスタッフに声をかけながら
徳永さんの手を握った


「えっ…」

「急いで」

「…はい」


恥ずかしそうに
少しうつむいたまま俺に手を引かれる徳永さんは
年上なのに妙に可愛らしい

ほんと
手が焼ける
お姉さんだ

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