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舞い降りた天使
第20章 返信
後悔しても
もう遅い
今更どうなるものでもない
どんな生活になろうと
あの人との結婚生活を続ける方が苦しいに決まってる
そう思っていたのに
もう心が折れそうな自分がいた
自分のことなら
いくら辛くても構わない
でも
桜が苦しむのは…
桜が眠りに落ちると
私は
腰をあげる気力も無く
桜の寝顔を見ながら
色んなことを思い出していた
そもそも
桜を産んでから
仕事のことを気にせず
こんなにゆったりと桜の寝顔を見たのは
はじめてかもしれないな…
あの人と結婚してから
借金のために
仕事漬けの毎日だった
桜は
どんなに寂しかっただろう
あかりちゃんのお母さんよのうに
ずっと家にいて
手の込んだお料理をして
沢山公園で遊んで
勉強を一緒にして
そして
「おかえり」と
毎日出迎えてあげたかった
でも結局
今も
仕事をしなきゃいけなくて…
こんな私がお母さんじゃなかったら
桜はもっと
幸せだっただろう
何を考えても
心は沈むばかりだ
離婚届の返信先に指定した実家から
離婚届が届いたという
連絡はまだない
仕事をしなきゃいけないのに
桜が学校に行けないなら
フリースクールを探さないと
フリースクールなら
行けるかな…さっちゃん
はぁ…
私は
深く重い溜息をついて目を閉じると
暗闇の中に
巧くんの笑顔を映し出し
ぎゅっと拳を握りしめた
会いたくても会えない
どうしようもない気持ちを
握り潰すかのように