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舞い降りた天使
第21章 スタート
「何時…かな…」
少し落ち着いた真穂を見て
俺もホッとすると
次は
まだ届いていない
離婚届のことが気になりはじめた
「もうすぐ11時半ね」
午前中という話だから
まだ届いてなくてもおかしくないんだけど
俺と真穂は
顔を見合わせて
心の中で『遅いね』と呟いた
「まだ…かな…」
ヤバい
なんか急に心配になってきた
俺は
なんだか落ち着かなくて
「迷ってんのかな…」
って言いながら立ち上がり
玄関に向かおうとした
その時
「巧くん…」
真穂が
俺の手を掴んだ
「どした?」
真穂がそんなことするのは珍しい
俺はすぐしゃがみこんで
真穂の手をしっかりと握り返すと
真穂は
「怖くて…」と呟いた
真穂も心配で仕方ないんだろう
「うん、俺も心配でたまんない。
営業所まで
取りに行けば良かったな」
「うん…」
「でも大丈夫だよ。
あと少しの辛抱だ」
俺は
不安そうな真穂を優しく抱き寄せ
そして真穂の髪に頰をすり寄せた
「届くまで
こうしてるから」
「…ありがと…安心する」
うん
俺も、安心する
「なぁ真穂」
「…何?」
「さっちゃんは
何時に帰ってくるの?」
「あかりちゃんと
少し遠くに出かけたから
夕方になると思う」
「じゃあ
離婚届出したら
俺の部屋に来ないか?
久しぶりに」
「……うん。
巧くんの部屋で
ハーブティ…飲みたいな…」
「なんか嬉しいな」
「え?」
「真穂が
何かしたいって言うの
珍しいから。
真穂の我儘とか
俺、聞きたいんだけど
あんま言わないから
なんか…嬉しい。
他にしたいことない?」
「……」
真穂は
俺の腕の中で
小さく首を振った
「残念。
キスしたいって言って欲しかったのに」
「……」
「俺がしたいだけなんだけど」
それから真穂を抱く腕を緩め
柔らかな耳たぶをなぞると
首をすくめる可愛い真穂に
唇を重ねた
「こうしてれば
時間も気にならないし
…落ち着く
真穂…舌、出して」
すると真穂は
黙ったまま目を閉じ
そして開いた唇から
少しだけ舌をのぞかせた