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舞い降りた天使
第1章 レモングラス
カタカタカタカタ…
その翌日
シンと静まりかえった事務所の中
私はひとり
キーボードを叩いていた
「あれ?徳永さん
残業珍しいですね」
「あ、うん。
今日は仕事してても大丈夫だから
やれるところまで…カタカタカタカタ…」
私に声をかけたのは
一ヶ月前に転職してきた
栗原くん
栗原くんも残業なのか
外から戻って来た栗原くんは
自分の席に着くと
キーボードを叩きはじめた
時計を見ると
時間は19時半
私は
あとどれくらい残業できるか
計算しながら
キーボードを叩き続けていた
「徳永さん」
「え?あ、はい」
突然私の背後から
声をかけたのは
もちろん栗原くん
「よかったらどうぞ」
その栗原くんは
あったかい飲みものが入ってそうな
コーヒーカップを持っていた
「ハーブティーなんですけど
よかったらどうぞ」
ハーブティー…
栗原くんらしいな
栗原くんは
少し中性的な男の子
「あ、ありがとう」
「いえ、僕が飲みたかったから
ついでです」
「じゃ…遠慮なく」
私はこの会社で
プログラミングの仕事をしている
栗原くんもそうだ
プログラミングは個人レベルの仕事がほとんどだから
フレックスタイムを利用する社員も多く
勤務時間はバラバラ
そんな理由で
私は栗原くんと話をするのは
久しぶりだった