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舞い降りた天使
第2章 パッションフラワー

その日の夜

パパが隣の部屋で寝息をたてはじめると
私は桜の隣に敷いてある布団に
静かに潜り込んだ

栗原くんからのメールは
まだない

あ、そうだ

私はメールのやり取りをパパに気付かれないようバイブをオフにし
そして
来るかどうかも分からないメールを見逃さないように
携帯を見つめた


でも時間はもう遅い

栗原くん
寝ちゃったかな

それとも
『駿太』という人と
どこかで遊んでるのかもしれない

私のことなんて忘れて…

明日のランチのことなんて
忘れて…


そう考えただけで
私の目から
一筋の涙が流れた


週二回もランチに誘われるなんて
何か企みがあるとしか思えない
それが分かっていても
栗原くんのメールを心待ちにしてるなんて…

そして
そのメールが来ないなんて…

私は涙を指でぬぐい
涙をぬぐったその指先を見つめた

その指先は携帯の明かりに照らされ
久しぶりに塗った透明なマニキュアが
艶々と光っていた

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