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舞い降りた天使
第2章 パッションフラワー

そしてその数時間後のこと


「おい真穂
いつまで寝てんねん」


私は
私を起こすパパの声で
目が覚めた


「え…あっ、ごめん
すぐにご飯準備するから」

「もうええわ。
間に合わへん」


パパは不機嫌そうに
部屋を出て行き
大きな音を立ててドアを閉めた

すると
その音で桜が目を覚まし
目をこすりながら
薄目を開けた


「ん……もう…時間?」


「あ、さっちゃんごめんね。
さっちゃんはもう少し寝てていいよ。
目覚ましが鳴ったら起きておいで」


ドアのの音に
驚いたかもしれない桜に
私はできるだけ優しくそう言いながら
布団をかけ直してあげると
桜は気持ち良さそうに微笑んで
私の手を握りしめた


「お母さん…」


「ん?なに?」


「お爪…かわいいね」


「あ、ありがと」


私は
何故だかその桜の言葉に
後ろめたさを感じた

正直
マニキュアを塗ったのは
栗原くんと会うからだった

今日ランチに行くなら
せめて恥ずかしい指先を
見られたくなかったから

私がこんなことをしたって
栗原くんは
気付きもしないだろうけど…


そして
桜が目を閉じると
私は音を立てないように部屋を出て
それからは
いつもと同じ
バタバタと朝の時間を過ごした


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