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舞い降りた天使
第23章 プレゼント
おそらく
いや、きっと
真穂は
戻って来てたけど
さっちゃんに泣き顔を見せたくなくて
席に戻れないでいたんだろう
さっちゃんを抱きしめた時
真穂はもう既に
泣いていたから
真穂は
号泣するさっちゃんを
しっかりと抱きしめながら
何度も何度も髪を撫で
そして
声にならない声で
必死で話をするさっちゃんに
耳を傾けた
「お母さんっごめっ…さい…
お母さんに
…けっこ…んっ…して欲しくて
でもっ
……私、がっこ、いっ…行ってないから
だめだから
いっ…いい子になるって
た、たくっにっ
お願いっ…したっのっ……」
「…っさっちゃんはいい子よ
さっちゃんは
頑張ってるじゃない
ダメなのは
…お母さんなのっ…
こんなに泣かせて…
ごめんね…桜…」
さっちゃんは
いい子でいるために
今日は
お行儀よくしたり
敬語を使っていたそうだ
ずっとずっと
大変そうだったお母さんに
幸せになって欲しかったんだろう…
そんな二人を前に
俺は
なんて無力なんだ
俺に
何ができるんだよ…姉ちゃん
どうすればいいんだよ…駿太
俺にできること
俺が
さっちゃんに
してあげられること…
「巧くん、ごめんね…」
「何言ってんだよ。
俺は喜んでるんだよ?
こんなに幸せなこと無いんだから。
なぁ、さっちゃん
さっちゃんは
どうして学校に行きたいの?」
「……」
「お母さんのため?」
するとさっちゃんは
首を横に振った
「学校
行きたいの。
学校がいいの。
みんなと一緒に学校行きたい」
その時俺は
不登校時の駿太の言葉を思い出した
『理由なんて分からないよ。
とにかく怖いんだ。
タクニイは学校行かなくてもいいって言うけど
学校行かないまま大人になるって怖いよ。
普通じゃなくてもいいって言われても
普通じゃないって
すごく怖いよ』