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舞い降りた天使
第5章 嫉妬
そして
約束の火曜日
夕方俺は
徳永さんと同時にオフィスを後にした
お互いの車で
俺の住むマンションまで移動し
二人一緒にエレベーターに乗る
どちらからも喋りかけない
その狭い空間は
まるで逢引きのような雰囲気だ
そう思ってるのは
俺だけなんだろうけど…
部屋に入ると
二人で顔を見合わせ
今まで酸欠だったかのように息を吸って
そして大きく息を吐いて
笑い合った
「緊張してんの?」
「少し」
「悪い事してるわけじゃないんだから」
「そうなんだけど」
二人きりでいること自体
もう
悪い事かもしれない
と、お互い思っている証拠に
2人の笑顔は微妙だった
「座ってて
ハーブティー入れてくるから」
「あ…うん」
徳永さんを
ソファに座らせ
俺はキッチンでお湯を沸かしながら
並ぶハーブティーを眺めた
どれを選ぼう…
シャタバリでも入れてしまおうか…
そんな悪戯を思いながら
俺は無難に
ミントに手を伸ばした
シャタバリなんか飲んだら
俺が我慢できなくなるかもしれないから
「お待たせ」
「ありがとう。
いつもごめんね?」
「気にしなくていいけど…」
そう言いながら
俺は徳永さんの隣に
腰を下ろした
まだ部屋に入って数分
シャタバリを飲んだわけでもない
それなのに俺は
狭いソファに
小さくなって座ってる徳永さんに
欲情した
いや
今に始まったことじゃない
今日の徳永さんは
セミロングの柔らかそうな髪を
束ねることなく下ろしていて
それを事務所で見たときから
俺はたまらない気持ちになってたんだ
「いい…けど?」
俺の
『いいけど』という言葉が
引っかかったのか
徳永さんは
そう言いながら
俺の目を見つめた
でもそれは一瞬で
思いの外距離が近くて驚いたのか
すぐに視線を外して
ティーカップに口をつけた