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舞い降りた天使
第5章 嫉妬
「真穂ちゃん…」
「ん?」
そんな俺の気持ちに気付いてないのか
真穂ちゃんは
俺の囁きに
ごくごく普通に答えながら
俺の方に顔を向けた
「ほんと上手だな」
「あ、ありがと…」
俺の目を見て
やっと俺達の距離に気付いた真穂ちゃんは
すぐに視線を外してうつむいた
「旦那さん、喜んだろ?」
「あー…うん」
「なんだよ微妙だなぁ」
「喜んではいたんだけど」
そこで真穂ちゃんは
携帯を膝において
ちょっと唇を噛んだ
「けど…何?
何かあった?」
「つけてもらえなくて」
「え?」
「邪魔になるからって
つけてくれなくて
だから
さっちゃんがっかりして…」
嘘だろ?
がっかりすんの当たり前じゃないか
いくら邪魔でも
せめて数日
つけてやるのが普通だろ?!
「足首とかは?」
「それも…嫌だって」
その一言で
俺の胸がぎゅうっと
締め付けられた
嫌ってなんだよ
さっちゃんの気持ち
考えてんのかよ
「ひでーな…」
真穂ちゃんの旦那を
悪く言うつもりは無かったけど
それは
思わず溢れた言葉だった
「あ、でも
さっちゃんには
パパが大切な物を入れてる引き出しに
ちゃんとしまってあったよって言っておいたから
…大丈夫」
「大丈夫って…」
なんだか俺がショックを受けていると
真穂ちゃんは
俺の目を見ながら
笑ってみせた
多分、大丈夫だよって言いたくて
笑って見せたんだろうけど
それは全然笑えてなくて
まるで
泣いてるみたいで
たまらず俺は
真穂ちゃんを
優しく抱きしめて
真穂ちゃんの
柔らかな髪に頬ずりをした