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片想い
第1章 片想い
「映画、おもしろかったね」
そう言いながら、彩夏が腕を絡めてきた。結婚して2年、お腹の中には子どももいるというのに、いまだに恋人気分が抜けていない。僕の可愛い奥さんだ。
「私、お互い好き合ってるんだから、もっと早く自分の想いを言っちゃえばいいのに、って思って観てた」
「そうかも知れないけど、なかなか言えないのが、初恋だよ」
「私だったら、速攻で言っちゃうけどな。好きです、付き合ってください、って」
「ほんと?」
「……ウソ。やっぱり振られて傷ついたら嫌だもんね。真司さんがしてくれたみたいに、男の子のほうから言ってくれるのを待ってる」
彩夏は、のろけるように身体を押し付けてきた。柔らかい胸が僕の腕に心地よく当たる。
「彩夏の初恋の人は、どんな人だったの?」
「私の初恋? 幼稚園のときの達也くんかな。いつも卵焼きをくれたんだ」
「えっ、それが初恋!? ただ食べ物につられただけじゃないか」
「違うわよ。達也くん、すごくかっこよかったんだから……」
彩夏は、ひとしきり達也くんの話をしてくれたあと、
「真司さんはどうなのよ。どんな初恋だったの?」
「僕の初恋か……。僕の初恋の人は、隣に住んでいたお姉さんかな」
「その人、どんな人?」
もともとこういう話が好きなのだろう。彩夏は興味津々という感じで聞いてきた。
そう言いながら、彩夏が腕を絡めてきた。結婚して2年、お腹の中には子どももいるというのに、いまだに恋人気分が抜けていない。僕の可愛い奥さんだ。
「私、お互い好き合ってるんだから、もっと早く自分の想いを言っちゃえばいいのに、って思って観てた」
「そうかも知れないけど、なかなか言えないのが、初恋だよ」
「私だったら、速攻で言っちゃうけどな。好きです、付き合ってください、って」
「ほんと?」
「……ウソ。やっぱり振られて傷ついたら嫌だもんね。真司さんがしてくれたみたいに、男の子のほうから言ってくれるのを待ってる」
彩夏は、のろけるように身体を押し付けてきた。柔らかい胸が僕の腕に心地よく当たる。
「彩夏の初恋の人は、どんな人だったの?」
「私の初恋? 幼稚園のときの達也くんかな。いつも卵焼きをくれたんだ」
「えっ、それが初恋!? ただ食べ物につられただけじゃないか」
「違うわよ。達也くん、すごくかっこよかったんだから……」
彩夏は、ひとしきり達也くんの話をしてくれたあと、
「真司さんはどうなのよ。どんな初恋だったの?」
「僕の初恋か……。僕の初恋の人は、隣に住んでいたお姉さんかな」
「その人、どんな人?」
もともとこういう話が好きなのだろう。彩夏は興味津々という感じで聞いてきた。