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最後の恋に花束を
第4章 高校三年の春

「 … そう言うことなの。」
『 いやいや、どういうこと 』
彼の瞳は、私の瞳を捉えて離さないでいた。
先程までの出来事と、これからの事と、今目の前にいる彼の視線に… 私の心臓はドクドクと存在感を発揮するかのように脈打つ。
「 … しなかったの。」
『 … ん? 』
「 それで… 中に… 」
ハッキリと、言葉を口に出来ない自分が、憎らしく感じた。自分の失態でもあるのに、それを認めれないでいる自分が居る。
『 ふぅん… なるほどねぇ… 』
「 っ… わかったの?」
『 おー。分かるよ。一ノ瀬のことだからなぁ 』
「 ふっ… 何それ… 」
半年前あんな顔をさせてしまったのに、いつだって遙は私に優しかった。優しいのか、もともとそういう性格なのか。
彼に会えてホッとしたのか、
彼の優しさが身に染みたのか…
涙が溢れそうになり思わず俯いた。
『 じゃあ、明日一緒に行ってやろうか? 』
「 …へ ?」
『 一人で行くのが不安なんだろ 』
「 … いや、いい。一人で行く 」
遙にこんな形で、またお世話になる訳にはいかない。そう思った私は、遙の優しさを 拒んだ。
『 … お、強いなぁ 』
「 … 私、弱くなんか無い … 」
『 おーおー、そうだったな 』
そう言うと、ケラケラと笑う彼。
そして、クシャッと私の髪を撫でた。
『 ま、いつでも頼ってよ 』
優しく私に声を掛けてくれる彼の表情は、いつもの彼で。その彼の姿に、心和らいだのは確かだった。
翌日、学校を休み一人で婦人科病院へ向かった …ー

