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最後の恋に花束を
第5章 大学一年の春

彼ら…遙とヒロと同じ大学に進学したといえど、毎日のように顔を合わすわけではなく、たまに講義が一緒になることがあった。けれど、今までより確実に仲は深まっていたし信頼関係も築けていた。

それも今こうして、危うく野宿するところが彼の家で湯船に浸かれているのも、優しい性格の彼らのおかげだな…と天井を見上げた。


お風呂を済ませた私は濡れた髪をタオルで拭きながら脱衣所を出る。遙のジャージを借りたものの、やはり男性。大きくてダボダボなのでズボンの裾を折りウエストの紐をしっかりと縛り上げた。


「 ハルくん、お風呂ありがと〜… 」


髪を拭きながら部屋に入ると、彼はパソコンに向かっていた。


『 お。ドライヤーあったっしょ?』

「 あ…うん、持ってきた。ハルくんはお風呂まだ?」


振り向いた彼に近付きパソコンを覗くと、素敵な風景写真が映し出されている。私はその写真に惹き寄せられ、トンッと椅子に座る遙の肩にぶつかった。


『 なになに、見る?』


少し驚きながら彼は私を見上げる。


「 … 見たい 」

『 ん、いいよ。俺風呂入ってくるから 』


そう言い彼は立ち上がると、私の腕を取り先ほどまで遙が座っていた椅子に私を座らせた。パソコンの操作方法を知っている私は、クリックして次の写真へと進める。長い袖から指先だけを出して。


『 ほれ、髪。乾かしな。レディなんだから。』


写真に見惚れていると、視界に遙が入る。彼の手にはドライヤーが握られていた。

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