この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後の恋に花束を
第6章 大学一年の冬

ー 今から来て ー
その文字に思わず はっ? と口から言葉が溢れる。
喋っているわけでもないのに。
酔っ払いは面倒だなぁ、と思い私は歩きながら遙へ電話をかけた。
「 … もしもし? 」
『 ん… カナ? 』
「 そうだけど、どうしたの? 」
『 … 可奈、覚えてる? 』
「 なにを? 」
電話越しの彼の声は、いつもの調子で。もう酔いなんて冷めているように感じられた。
『 高校3年の文化祭 』
「 あー… ハルくんが撮ってた…あれ? 」
『 そー。』
「 それがどうしたの? 」
『 んー? 』
『 … 』
彼の言葉が詰まるのが分かった。
なにを言いたいのかは分からなかった。
私は彼の言葉が再び聞こえるのを、黙って待った。
『 俺、あの時さ 』
『 可奈の事、めっちゃ好きだったんだよね 』
その言葉に、私の足は、歩みを止めた。
自然と。
そして… 少しずつ。
少しずつ 心臓が高鳴ってゆく。
『 いやー… ダメ男だわー…俺 』
『 彼女いるのにさー… 』
『 何言ってんだろうねー 』
『 あの日からさー… 』
『 ずっと、可奈のこと… 』
「 わっ… 私は ハルくんのこと… ずっと好きだったよ… 」
感情の高ぶりに。
私の理性は、止まらなかった。
口に出してはいけない感情を。
彼の所為で。
口に出してしまった瞬間だった。

